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 10年ほどぶりに映画館に足を運んだ。
 自分の性格上、ああいった場所に足を運ぶのはかなり億劫なほうだ。
 これまでの10年は、封切られた映画の公開がそろそろ終わる頃になって、ようやく評判を聞いて、そんなにいうなら・・・と観に行こうとした挙句、結局公開終了していつまでも見ず終い、というのがいつものことだった。

 にもかかわらず、何の因果か。
 10年前に見た映画は、確か【Air/まごころを君に】だったろうか。
(あるいは“踊る大走査線the movie”じゃないの、という線もあるのだが。その変の過去への検証はいつかまた別の機会にする)

 2009/06/27(sat.)公開 ヱヴァンゲリヲン新劇場版;破

 タイトルに込められた意味など知らぬ。字面でなんとなく想像し、そして予想斜め上で裏切られた。
 まんまと出し抜かれているのかもしれない。
 ここから更に大どんでん返しで、「なんだよこれ、またかよ庵野さん・・・」というメンヘラ落ちになるかもしれない。
 それでも、今現状での感想としては、それは否と思いたい。

 10年の歳月の間に、緩やかに変わっていたもの。
 精神の経年劣化を甘受すること、時間に慣れるということ。
 あるがままを受け入れる、という言葉の裏で、内実では自らの変化をことごとく拒む、保守的な姿勢。変わることへの恐怖。

 かつて、「あんな大人になりたくない」と思って固持していた反骨精神は、いつの間にか自らの外枠をガチガチに塗り固めていた。それでは変化は起きず、いつの間にか内部で肥大していくフラストレーションによって、外面を保てなくなる。
 だったら、すべてと溶け合ってしまおう。
 自分と他人、世界と私なんて境界線はなくなってしまえばいい。批判など必要ない。比べられなくなることで、比べられる自己など、なくなるのだから。
 かつて求めた補完は、理解されないことへ苛立ち、地団駄踏んだ挙句に引き起こされた自暴自棄を癒すために、人為的に作り出された理想郷だった。でもそこでは、そんな姿では生きていくことはできないからと、シンジは他者を求めた。
 ただ、その結果導き出された答えが「気持ち悪い」だったのは、なぜ。

 「新版;破」の中で、キャストの面々は前に進むことを望み、そして現にその一歩を歩もうとしていた。
 アスカは最後の電話口で、さっぱりした口調でいった。
 孤独が当たり前と思っていたし、ハイスコアを取ることが私にとってはすべてだと今でも思っている、でも最近、人といるのも、人と喋るのも、案外悪くない気もする。
 レイは真摯に見つめ、訊いた。
 人とともにする食事は楽しい。誰かのために作る料理は嬉しい。人と人がつながることは、喜び。
 シンジは叫ぶ。
 それは断片的で、ちぐはぐで、まだしっかりとした幹を持たない言葉のようにも思える。
 しかしTVシリーズや旧劇場版と決定的に違うのは、他者からの癒しや慰めを求めるのではなく、自らが他者を救おうと介入する姿勢を、徐々に取り始めている点だ。
 必死の形相で、友の手を掴もうとする彼の、嗚咽の中に感じた、声変わり。
 子供から少年へ、少年から成年へ変わろうとするその最中の、必死の生々しさ。
(あるいはあの場面では、意図的にそういった演技指導があったのではないかとさえ、観た直後に感じたほどだった)
 
 もちろん、そういった描写が、かつてのTVシリーズになかったかといえば、否である。これらは単なる邪推でしかない。ただの妄言でしかない。
 ただ、人として生きる人間の息遣いを、間合いを、つながりのありようを、見るものの精神を痛めつけるだけではない生々しさでもって伝えようとする姿勢は、新劇場版になってはじめてのことであり、これまでのTVシリーズや旧劇場版にはなかったように思う。
 一点の光明をさえ、思いたくなるのだ。



 10年という月日が経ち、いつの間にかシンジは、かつての自分を写す鏡ではなくなっていた。
 シンジは声を振り絞り、叫ぶ。
 その声は、確かに旧劇場版と同じキャストのものだ。
 その声に含まれるものが、悲愴に満ち満ちた自己防衛のための虚勢ではなく、自らより好くあろうと願う意志に変わっているのではないか、と、私は思いたいのである。
 
06.27 (Sat) 23:02 [ 劇場版 ] CM0. TB0. TOP▲
  
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